以下に記すのは、本日3日目のスケジュールである。


≪ターゲットアタック 2回戦(9:00〜11:00)≫
Aブロック
第1試合
 飯田剛(仙台) 対 桜井誠(京帝)
第2試合
 東山幸平(瑞穂坂) 対 汐留渚(名古屋)

Bブロック
第1試合
 高峰小雪(瑞穂坂) 対 安藤ももか(舞浜)
第2試合
 毛利哲也(静岡) 対 茅ヶ崎愛(名古屋)


≪バルーンクラッシュ 2回戦(12:00〜13:30)≫
Aブロック
第1試合
 藍本静香・東山幸平・吉田小百合(瑞穂坂) 対 鳥取晴香・藤枝知美・白百合由利(仙台)
第2試合
 目黒竜也・藤原友則・大金利通(東京) 対  一之瀬了・星城聡・渡辺正和(京帝)

Bブロック
第1試合
 南修平・桶口良平・御手洗大輔(静岡) 対 神坂春姫・小日向雄真・柊杏璃(瑞穂坂)
第2試合
 飯田貞治・原寺平蔵・吉本キチ(仙台) 対  三井良平・桜井誠・向井正春(京帝)


≪ダブルス 2回戦(14:00〜15:30)≫
Aブロック
第1試合
 鳳健吾・谷保みどり(東京) 対  上条信哉・上条沙耶(瑞穂坂)
第2試合
 蔵屋敷美紀・大原千恵(舞浜) 対 星城聡・向井正春(京帝)

Bブロック
第1試合
 日立ニオ・菅野宮重次(静岡) 対 静本綾香・西山あゆ(名古屋)
第2試合
 神坂春姫・小日向雄真(瑞穂坂) 対 神威信・児玉白(京帝)


≪フライングキャッチ 予選 (16:00〜17:00)≫
備考:今種目に、シード制度なし。

出場者
仙台 :飯田剛・浜エイジ
舞浜 :八乙女咲夜・安藤ももか
東京 :巣鴨真司・秋田義男
瑞穂坂:高峰小雪・藍本静香
静岡 :浅草舞・外堀卓郎
名古屋:黒川アゲハ・桑田雄二
京帝 :渡辺正和・平井司


≪シングルス 1回戦(18:00〜20:00)≫
備考:昨年度優勝校の京手高校は、1回戦シード。

Aブロック
第1試合
 乃木鉄平(仙台) 対 三戸部三郎(東京)
第2試合
 黒川アゲハ(名古屋) 対 蔵屋敷美紀(舞浜)

第3試合
 式守伊吹(瑞穂坂) 対 菅野宮重次(静岡)
シード校
 神威空(京帝)


 ――――かつてない激戦の幕開けは、もう間近に迫っていた。






Happiness story「小日向雄真と七校対抗魔法大会」

Magic11.“瑞穂坂・主将”高峰小雪vs“舞浜・主将”安藤ももか






 昨日行われた、ターゲットアタック1回戦。
順調に勝利を収めた瑞穂坂はAブロックの幸平、そしてBブロックの小雪が共に2回戦に参戦する。
第1試合に小雪がAブロックで。第2試合に幸平がBブロックである為、
どちらかの試合を観戦すれば、どちらかは諦めざるを得ない。(A会場とB会場は歩いて10分くらいの位置にある。)

 しかも、今回の試合は七賢人戦と他校大将戦。
どちらも今後の試合展開を左右しかねない、重要な局面である。

 雄真がどちらに行くか決めあぐねていたところ、伊吹から声が掛かった。


「七賢人の強さを、一度肌で感じておいた方がよかろう」


 と、いうわけで。
Aブロックの幸平vs渚には、雄真・伊吹・静香・小百合が。
Bブロックの小雪vsももかには、春姫・杏璃・信哉・沙耶が。
それぞれ赴くこととなった。

 小雪は「今日こそ私の試合を見に来てください」オーラを出していたが、
伊吹の正論過ぎる正論に反論することもできず、大人しく引き下がった。

 去り際の小雪の一言。


「ああ、嘆かわしいです。今日も私は、雄真さんの不幸を占うことになるのですね」


 というセリフには悪意すら感じられたが。雄真は何とかスル―することに成功した。






 わぁぁぁぁぁぁぁぁぁ。

 Bブロック会場。既に会場は熱気で包まれてはいるが、昨日ほどの入りはない。
理由は明白。今日、ターゲットアタックにて出陣する七賢人が一角・汐留渚は、Aブロックだからだ。

「まったく、なによみんな。七賢人七賢人。どいつもこいつも!!」

「あ、杏璃ちゃん…。抑えて抑えて」

「ふんっ」

 杏璃がどっかりと腰を下ろす。それに続いて春姫・信哉・沙耶も腰を落ち着けた。

「小雪殿にとっては、ここが1つの正念場だな」

 信哉がトーナメント表を片手に呟く。それに沙耶が頷いた。

「はい。対戦相手は舞浜学園の主将です。ここで抑えることができれば、対・舞浜戦では今後も有利に立てるでしょう」

「平気よ。タマちゃんがいれば余裕じゃない」

「…うぅん、そうとも言い切れないよ」

 杏璃の言葉に、春姫が首を振る。

「去年の安藤ももかさんの試合、杏璃ちゃんも見たでしょう?
 タマちゃんにとって、あれは相性が悪いかもしれないわ」

「神坂さんと柊さんは、相手の技を知っておられるのですか?」

「ええ」

「まぁね」

 沙耶の質問に、春姫と杏璃が同時に頷いた。

「あの人が得意とするのは光系呪文のカウンター。
 確かにタマちゃんがそれで弾かれちゃうと厄介かもね」

「タマちゃんが得点板に届くのが先か、反射板、いわゆるリフレクターが行く手を阻むのが先か。
 多分、それが勝敗のカギを握ることになると思う」

「ふむ…。まあ、小雪殿なら何かしらの対策を練るであろう」

 信哉が冷静にそう告げたところで、

『選手入場です』

 アナウンスが鳴り響いた。






『ターゲットアタック・Bブロック。
 第2回戦第1試合。
 瑞穂坂学園3年・高峰小雪対舞浜学園3年・安藤ももかの試合を開始します』

わぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ

 歓声と共に、小雪・ももかの両名がフィールドに姿を現した。
ゆっくりとフィールド中央へと歩み寄る。審判を間に挟み、両名が足を止めた。

「こんにちは、高峰小雪さん。まさかこんなに早く貴方と戦うとは思ってなかったわ」

「そうでしょうか? 私と戦うために、貴方はこの種目に転向したのだと思っておりましたが」

 小雪の返しに、ももかの目が少しだけ見開かれる。
桃色のふわふわとしたロングヘアーが、風になびいた。

「どうしてそう思うのかしら」

「なんとなくです」

「ふふっ、そう」

 小雪のしれっとした返答に気を悪くするでもなく、ももかはくすりと笑った。

「私は舞浜の大将。負けるわけにはいかない」

「そうですか。私も同じです」

 その返答には満足したのか、ももかがすっと掌を差し出した。

「お互い、ベストを尽くしましょう」

「もちろんです」

 小雪もそれにがっしりと応えた。






ビ――――――――――ッ!!!

「タマちゃん!!」

『はいな!』

 開始ブザーと共に、まず動いたのは小雪。
詠唱を必要としないスフィアタムは、瞬く間にももかの陣地へと到達した。
そのまま得点板へと一直線に飛行する。

ガァァンッ!!

ピ―――――ン

『瑞穂坂学園。50ポイント』

 得点が加算されたアナウンスが流れる。会場から歓声が沸き起こった。

「タマちゃん、連続あたっくです!!」

『了解や〜! いくで〜!!』

ガガガガガガガガガガガガガッ!!!!

ピピピピピピピピピピピピッ!!!

 容赦の無いタマちゃんの連撃が、ももかの得点板から次々と得点を奪い取る。
対して、ももかは俯き加減の顔をピクリとも動かさない。

 その仕草に、小雪が若干の違和感を覚えたところで。

「―――そこまでよ」

キィィィィン!!!

 ももかの呟きと共に、甲高い音が響く。

 瞬間。

ガァァァンッ!!!

「っ!?」

 小雪が反応した頃には、タマちゃんが“小雪の”得点板に突き刺さっていた。

ピ―――――ン

『舞浜学園。50ポイント』

『な、なんや!?』

 自殺点の原因となった、タマちゃんですら目を白黒させている。

「………」

 タマちゃんとは正反対に、あくまで冷静に小雪はももかへと視線を戻した。

「ふふ。これくらいじゃ動揺しない?」

 ももかがゆっくりと手を挙げる。
その動作に倣って、タマちゃんとももかの得点板の間に光の壁が発現した。

『障壁やて!? この程度でわいが止められるかいな!!』

「―――っ!? タマちゃん、いけません!!」

 応戦すべく障壁へとまともに突っ込んでいくタマちゃんを、小雪が制そうと声を上げる。
しかし、間に合わない。自らの意志で射出したタマちゃんは、そのままの速度で障壁へと激突する。

 凄まじい音が響いた。障壁が砕けたか? と、誰もが思った瞬間だった。

ガァァァンッ!!!!

ピ―――――ン

『舞浜学園。50ポイント』

 タマちゃんは、またもや小雪の得点板へと突き刺さっていた。






「ふむ。これがリフレクターか。それもかなりの強度のようだ。
 まさか小雪殿の一撃を防ぐばかりか、カウンターまで繰り出そうとは」

 信哉が感心したかのように呟く。

「私の“明鏡の宮殿”を、遥かに上回る性能の高さです。
 これほどのリフレクターは、なかなかお目にかかれるものではありません」

「うむ。とは言え、小雪殿のスフィアタムならばそう難しく考えることもあるまい?
 反射板を避けて動くことなど、容易であろう」

「相手選手・安藤ももかさん…。去年の参加種目はバルーンクラッシュとフライングキャッチだったわ。
 だから、ターゲットアタックは今年初出場だったんだけど…」

「なるほど。つまりこれからどう出てくるか分からぬわけか」

 信哉は、春姫の言わんとすることを察し、1つ頷いた。






『姐さん〜』

 タマちゃんがふよふよと小雪の元へと舞い戻る。

「気にしちゃだめですよ、タマちゃん。
 青のリフレクターには、勝負は挑まぬ方が賢明なようです。
 うまく避けるように飛びましょう」

『了解や!』

「ふふふ」

「?」

 上品な笑い声に、小雪とタマちゃんが振り返る。
見ればももかが口に手を添えて微笑していた。

「どうやら、そのスフィアタムとは良い信頼関係を築けているようね。
 不思議な感じ。私の周りには、そんな風にワンドと仲良しな子がいないから」

「? 仲が悪いのですか?」

 ももかは、微笑を苦笑に変えた。

「いいえ、違うわ。“自我持ち”がいないってことよ」

「…すみません。無神経な質問をしました」

「気にしないで。構わないわ」

―――ズッ!!

 頭を下げる小雪を、ももかはばっさりと切り捨てる。
それと同時に、ももかから魔力が一気に溢れ出た。

「対話できずとも。ちゃんとみんな強いから」

「うっ!? タマちゃん!!」

『はいな!!』

 小雪は、その突如膨れ上がったももかの魔力に委縮しかけるが、何とか踏みとどまる。
小雪の掛け声と同時に、タマちゃんがももかの得点板へと突っ込んだ。

 が。

「ごめんなさい、もう“遅い”の」

ガァァァンッ!!!!

ピ―――――ン

『舞浜学園。50ポイント』

「なっ!?」

 小雪が、らしくもない声を上げる。しかし、それも仕方のないことかもしれない。

 タマちゃんは、確かにリフレクターを避けるように飛んでいた。
事実。発現されていた光の障壁からは距離を取って飛行していた。

 しかし、突如タマちゃんの進行方向に、新たなリフレクターが出現したのだ。
それも、ももかが詠唱を唱えることもなく、だ。

 いや、詠唱していなかっただけではない。
そもそも。ももかは“何もしていなかった”。
そういった素振りすら、1つも見せていない。

 突如現れたリフレクターに反応などできるはずもなく。
タマちゃんは、応戦する術なく小雪の得点板へと再度突き刺さっていた。

「………これは」

 小雪はぽつりと呟くのと、両手の掌を合わせた。パンッと小気味の良い音が鳴る。
ゆっくりと両の掌を放していくと、その間からミニチュアのタマちゃんが5つ発現した。

「行ってください」

 小雪の命令に、チビタマちゃんの全てが高速で射出される。
それぞれが別々の軌道で、ももかの得点板を襲った。

 が。

ガガガガガァァァァンッ!!!!

 その全てが。一瞬で発現した別々のリフレクターによって弾かれる。
そしてその勢いは殺されることなく、そのまま小雪の得点板へと全弾が吸い込まれていった。

ピピピピピッ!!!!

『舞浜学園。210ポイント』

 4発が50ポイントへ。1発が10ポイントへと激突した。
アナウンスがももかの連続得点を告げる。
しかし、小雪はそれを気にする風でもなく、前方を睨みつけていた。

 ももかを、ではない。ももかの“周辺を”、だ。

「あら、もうばれちゃったのかしら。もう少しはいけると思ったんだけど。
 やっぱり、同じ得意属性の貴方の目は誤魔化されないかしらね」

「………その複数のリフレクターは、攻撃の都度構築し直していたわけではないのですね?
 いえ、“複数の”という表現自体が間違っているのでしょう。つまり―――」

「そう。こういうことよ」

 小雪の結論を聞くまでもなく、ももかはそれを提示した。

 左右の腕を広げるような所作をとる。
それに呼応するかのように。ももかの周囲には数多のリフレクターが音もなく発現した。

「………え?」

 小雪がその光景に違和感を覚える。何かが違う。そんな直感。
反射的にピクリと眉を上げるが、それが何なのかは分からなかった。

「―――『明鏡止水』」

 それを気にする様子もなく、両手を広げたまま、ももかは口を開いた。



「このフィールドは掌握したわ。私の勝ちは、もう揺らがない」



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