わぁぁぁぁぁぁぁぁ
転移魔法により、再び会場へと戻ってくる。
その歓声を聞きながら、雄真は上空の画面で表示される文字を目で追った。
『静岡魔法学園× ○瑞穂坂学園』
バルーンクラッシュ第2回戦Bブロック第1試合。
雄真は、魔法を1つも使用することなく勝利した。
パシュッ
パシュッ
春姫と杏璃が続けて戻ってくる。
杏璃と目が合うと、雄真はお礼の言葉を素直に口にした。
「ありがとな、杏璃」
「別に、アンタの為にやったわけじゃないわ。瑞穂坂のチームの為よ」
そっぽを向きながら杏璃が答える。
頬が赤く染まっている件については、雄真は見なかったことにしておいた。
そこを、わざわざここで突っ込むほど野暮ではない。
試合前、杏璃が言ったのはたった一言。
「この試合、私に任せなさい」
無論、次に控えるダブルス戦を意識していたことは明白だ。
最初は雄真も渋ったものの、杏璃の決意の固さから、素直に退くことにした。
雄真がキング。杏璃の攻撃に、春姫の補佐。
しかし、実際はほとんど杏璃の独壇場だった。春姫もほとんど魔力を使用していない。
ふと、顔を上げる。
先ほどまで座っていた席には、まだ伊吹が着席しているのが見えた。
遠目からでもあの銀髪はよく目立つ。
そして、その横には―――。
雄真の視線に気づいたのだろう。
次のダブルスでの対戦者・神威信が、にやりと笑ったのを。
――――――雄真は遠目から見逃さなかった。
Happiness story『小日向雄真と七校対抗魔法大会』
Magic15.相対!!
≪バルーンクラッシュ 2回戦結果≫
Aブロック
第1試合
藍本静香・東山幸平・吉田小百合(瑞穂坂) ○ 対 × 鳥取晴香・藤枝知美・白百合由利(仙台)
第2試合
目黒竜也・藤原友則・大金利通(東京) ○ 対 × 一之瀬了・星城聡・渡辺正和(京帝)
Aブロック内1・2位決定戦は、瑞穂坂 対 東京 に決定。
Bブロック
第1試合
南修平・桶口良平・御手洗大輔(静岡) × 対 ○ 神坂春姫・小日向雄真・柊杏璃(瑞穂坂)
第2試合
飯田貞治・原寺平蔵・吉本キチ(仙台) × 対 ○ 三井良平・桜井誠・向井正春(京帝)
Bブロック内1・2位決定戦は、瑞穂坂 対 京帝 に決定。
A・Bにて勝利した者同士が、バルーンクラッシュ1・2位決定戦に。
A・Bにて敗北した者同士が、バルーンクラッシュ3・4位決定戦にそれぞれ進出する。
○現在の学校順位
5位:仙台魔法学園(宮城)30P
5位:東京都立魔法学園(東京)30P
1位:瑞穂坂学園(神奈川)90P
6位:舞浜学園(千葉)20P
3位:静岡魔法学園(静岡)40P
3位:名古屋魔法高校(愛知)40P
2位:京帝高校(京都)70P
『さぁ!! 大一番よ!!』
陽菜が開口一番、そう叫ぶ。雄真と春姫はBブロックの選手控室にて、
設置されているテレビ電話を用い、監督・九条陽菜から激励の言葉を受けていた。
『Aブロック第1試合、上条兄妹の試合ならば心配無用よ。
かなり優勢で押してる。勝利は時間の問題だから』
陽菜がそう付け足す。
瑞穂坂本部と違い、選手控室にはモニターが1つしかないため、
テレビ電話を使用しているときは会場の試合経過を見ることができない。
陽菜の言葉を聞いて、雄真と春姫はほっと胸を撫で下ろした。
『つまり、私の言いたいことは分かるね?』
第2試合に控えるもう1つの京帝高校がどうでるかは分からない。
しかし、信哉と沙耶が負けなければ、少なくとも点差が縮まることはない。
―――つまり。
「俺たちが勝って、王者・京帝を突き放すしかない」
こういうことだ。
ここで向こうの主力である信に負け、彼をフリーにしてしまった場合。
ほぼ間違いなく、信は決勝戦まで勝ち上がってくる。
現在首位に立つ瑞穂坂としては、ここで得点源の1つを潰しておきたいわけだ。
『その通り!!』
画面の向こうで陽菜が叫ぶ。
あちらも、相当ヒートアップしているようだった。
『ここが正念場よ!! ここで勢いに乗られちゃうと、後々に響いてくるんだからね!!』
「はい」
「はい」
陽菜の言葉に、雄真と春姫が頷く。
『キミたちならやれる!! いや、やれ!!』
もはや言動が意味不明だったが、それもあまり気にならなくなっていた。
ピ――――ン
『まもなくダブルス第2回戦第2試合を開始致します。
瑞穂坂学園・神坂春姫さん、小日向雄真さんは、準備をしてゲート前までお越しください』
控え室に移動開始の合図が鳴り響く。
(―――いよいよだ)
『雄真くん。神坂さん』
立ち上がるのと同時に、テレビから陽菜の声が届く。
『勝て!!』
「「はいっ!!!!!」」
その言葉に背中を押され、雄真と春姫は部屋の扉に手をかけた。
「………」
陽菜は通信が切れたテレビ画面を、未だに放心したように見つめ続けていた。
「あらあら。電源の切れたテレビに見入っちゃって…。実は魔法で何か映ってるのかしら?」
「――っ!? す、鈴莉さん」
突然の訪問者に、陽菜がはっと振り返る。
そこにはクスクスと笑う恩師が、扉に寄りかかっていた。
「失礼? 会場前は人がごった返しちゃって…。
もう入れないわ。入場制限がかかっちゃってるんだもの」
少しも悪びれた顔をせず、鈴莉はテント内に入ってきた。
そのまま陽菜の横を通り過ぎ、試合会場が映し出されている画面の前に座る。
それを陽菜は、無言のまま見届けていた。
「…? どうしたのかしら、九条先生?」
視線を感じた鈴莉が問う。陽菜は、呟くように話し出した。
「私が…」
「うん?」
「この大会に出場したとき…」
「うん」
「…一度も、七賢人には勝てなかったのに……」
「…うん」
「雄真くんに、言っちゃいました」
「なんて?」
「………勝て、って」
「ふふっ」
その言葉を聞いて鈴莉が笑う。
「それで? なんでそんなに悩んだ顔をしてるのよ」
「……だって、私ができなかったこと………偉そうに」
「はぁ〜」
鈴莉はため息を付いて立ち上がる。
その足でそのまま陽菜の前まで移動した。
「貴方ってホント…。変なところで真面目なんだから」
「変って!!」
「先生が偉そうにしてて何が悪いの?」
「―っ!! そ、そんなの…」
「なら、貴方はこれから試合に臨む生徒に、
『過去私は負けたから、貴方たちが負けても怒らないよ』
とでも言えばよかったというわけ?」
「そ、そういう…わけじゃ」
「しっかりなさい!!」
ばしっ!!
鈴莉が陽菜の背中を叩く。
「とっくに世代交代してるのよ?
貴方はもうみんなを引っ張る立場に居るの。
間違ってもそんな不景気そうな顔、生徒に見られるんじゃないわよ」
「す、鈴莉さん……」
尚も揺れ動く陽菜の瞳に、鈴莉は奥の手を使うことにした。
ゆっくりと。鈴莉は自分の手を陽菜の頭に置いた。
びくっとなった陽菜が、おそるおそる上目で鈴莉の表情を伺う。
その、昔となんら変わらない仕草に。鈴莉は苦笑しつつも口を開いた。
「大丈夫、大丈夫、大丈夫よ。貴方は、何も間違っちゃいないわ」
「………あ」
陽菜の頭を撫でながら、鈴莉がゆっくりと歌うような声色で紡ぐ。
学生時代。
教師と生徒の立場であったときからの、魔法の言葉。
「なにせ、私の自慢の教え子なんだからね」
鈴莉がウインクしながらそう告げる。
それを聞いた陽菜は、大きく目を見開き…。
「はいっ!!」
元気よく、返事をした。
「いよいよね」
観客席の最後方、本来は通路として利用されている場所。
今や立ち見席として、そこも貴重な観戦スペースと化しているところで、静香はそう呟いた。
「この試合が、今後の大会の流れを決める。それは、もう間違いない」
横に立つ幸平が頷く。
「まったく、後輩に任せることになってしまうとは…。
先輩としての威厳もあったものではないな」
「そうでもないですよ?」
幸平の自虐的な発言に小雪が反応する。
「東山副会長の一戦は、瑞穂坂にとって貴重な一戦となりました。
七賢人を相手としてあれだけの魔法戦をされたのです。
映像ででしか見れなかったことが非常に残念ですが…。
少なくともその意気は、きちんとフィールドの2人にも伝わっているはずですよ」
「そうですよ!! とても良い試合でした!!」
小百合がそれに倣う。幸平は苦笑しながら鼻をかいた。
「はは。そう言ってくれると嬉しいなぁ」
「貴方がチンタラやってるからでしょうが!!」
「ん?」
ざわめく歓声の中、小雪はふと聞き覚えのある声を聞いた。
きょろきょろと辺りを見回す。
「どうしたんですか? 小雪先輩」
「…いえ、何となく聞き覚えのある声が…って、準さん?」
「あら、小雪先輩?」
ちょうど目の前の人ごみからひょっこりと顔を出したのは準だった。
「準ちゃんじゃない!! と、いうことは…」
杏璃が準の後ろの人ごみへと目を向ける。
「はぁはぁ…。ダメだ、もうどこも席空いてねーよ」
「あぅぅ…。凄いひとごみですぅ」
後ろから満身創痍のハチと目を回しているすももも現れた。
「ハチ!! すももちゃん!!」
「あれ? 杏璃ちゃん、小雪先輩も?」
「わぁ、こんにちは!!」
「どうされたんです? こんなところで」
急に現れた普通科3人組に、小雪が首を傾げる。
「雄真の試合を見に来たんですけど…。
会場がすごく混んでて、今空いてる席を探しているところだったんです」
準が若干疲れ顔でそう答える。
「残念だけど、もう席は満員御礼よ。みーんな立ち見なんだから」
杏璃が大げさに両手を広げてそう告げた。
「げげっ!? そうなのかよ!!」
「むしろ入れただけでも幸運に思うべきね。今、入場規制もしてるらしいから」
静香が携帯電話の画面を確認しながらそう言う。
「に、入場規制ってどれだけの人が入ってるのよ…。
まったく、やっぱりハチがチンタラしてるからじゃない!!」
「す、すまん」
「ハチがどうかしたの?」
珍しく殊勝な態度を見せるハチに、杏璃が問う。
「今、瑞穂坂学園から会場への送迎バスが出てるの知ってるわよね?
予定してたバスに乗ろうとした瞬間、ハチがトイレに行きたいって言い出したのよ。
待ってる間に順番どんどん抜かれちゃってね…」
「ごめんなさいっ!?」
喋りながら視線だけで人を殺せそうな勢いで睨んでくる準に、ハチは音が遅れてくる勢いで頭を下げた。
「送迎バスか…。学園生の利用具合はどのくらいだったんだい?」
「あ、えっと実はですね」
幸平の疑問に、すももが答える。
「先生が今日は臨時休校って言ってましたから、
多分ほとんどがここへ来てるんじゃないでしょうか」
「臨時休校!!」
杏璃が驚いたように叫ぶ。
「前代未聞ね。クラスが半数以下になってもこの時期は授業してたのに…」
小百合も軽く驚いた表情で続く。
「ふふふ。みんな、よほど彼に期待しているみたいね」
静香が笑いをかみ殺しながら話す。そこへ、ふっと影が降りた。
「…瑞穂坂学園か」
「っ!?」
「え!?」
「あらあら、乃木さんではないですか」
突如来訪したのは、仙台魔法学園の制服を纏った乃木鉄平。
瑞穂坂の魔法科メンバーが一同に驚く中、
小雪だけが場にそぐわぬほど平坦な声で来客者の名を口にした。
「主らも立ち見か」
「そうです、席はご覧のとおり一杯でして」
「うむ。もう少し早く動くべきだったな」
会場をぐるりと眺めながら、鉄平がため息を付くようにそうぼやいた。
「乃木さんも、ここで見ていかれます?」
「いや、遠慮しておこう。会場には俺の連れも来ているのでな」
「そうでしたか、それは残念です」
「はは。む? お主は…」
「はい?」
鉄平の目が幸平に留まる。
「東山幸平と言ったな。先の試合は見事であった。
ここへ来る前に会ったのだが…。汐留もかなり満足しておったぞ」
「…ありがとうございます」
幸平が一礼する。その姿に鉄平が目を細めた。
「瑞穂坂。なかなかに良い者たちが育っているようだな。これから、楽しみだ」
それだけ告げて、鉄平は観衆へと消えていく。
それを見送った幸平はふーっと安堵のため息を付いた。
「まさか話しかけられるとはなぁ」
「もうすっかり有名人ね」
「よしてくれよ」
茶化してくる静香を、幸平は勘弁してくれと言いたげな顔で払う。
「それにしても、七賢人まで観戦とは。本当にうちの後輩は注目されっぱなしだな」
「そうですね、八乙女さんや浅草さんも先ほどお見かけしました。
おそらく、七賢人・次期当主の方々は全員、この会場のどこかしらにお出でになっていることでしょう」
「………打倒七賢人成るか。これを本気で疑わせているんだもの。注目されない方が可笑しいわよ」
『選手入場です』
わぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ
観客の熱気がさらに増す。
皆が注目する、運命の一戦の幕が上がろうとしていた。
『選手入場です』
アナウンスと共に、フィールドに足を踏み入れる。
大歓声が雄真と春姫を迎え入れた。
『ダブルス・Bブロック。第2回戦第2試合。
瑞穂坂学園、神坂春姫・小日向雄真、対
京帝高校、神威信・児玉白(こだまはく)の試合を開始します』
しかし、もはや観客席の方へと視線を巡らせる余裕すら、雄真にはなかった。
ただひたすらに、前方を見る。
ゆっくりと、対戦相手が姿を現した。ひときわ歓声が高まる。
まず、先に足を踏み入れてきたのは七賢人。
“炎の加護を受けし一族”。神威家次期当主・神威信。
雄真とは正反対の、真っ白な魔法服を身に纏っている。
ワンドを持たず手ぶらで入ってきているのは、無杖者たる所以といったところだろう。
次いで、ダブルスでのパートナーを務める小柄な女性が入場してきた。
こちらも真っ白な魔法服を身に纏ってる。サイズを間違えたんじゃないかと疑うほどにぶかぶかだが。
少し灰色がかった髪をショートカットにしており、魔法服によく映えていた。
そして、その背中に装着しているのは…。
「ロッドか」
「うん、そうみたい」
雄真の呟きに春姫が頷く。
ロッド。マジックワンドと違う点はただ1つ。
使用者との契約を結んでいない、純粋なる魔法補助具であるということ。
マジックアイテムのショップなどで発売しているものだ。
ロッドに気を取られていたが、ふと視線を感じて雄真がそちらを向く。
信は雄真と目が合うと、ひときわに笑みを濃くした。雄真は、それに頷くことで応える。
4人は、審判を挟みフィールド中央で相対した。
「こんな早く、お前と戦えるとは思ってなかった」
「そりゃこっちのセリフだ。信、あの時言いたかったのはこういうことだったんだな」
夏休み。初めて信と空に会ったことを思い出す。
『父上にも言われていたようだが。俺もお前には興味が出てきた。
お前と魔法で競える日を楽しみにしているぞ』
『お、おいおい。俺はまだまだ全然敵わないぞ。それに、そんな機会あるのか?』
『ふふ。直に分かるさ。直にね』
「確か、あの時は…。まだまだ俺には敵わないと言っていたはずだが。
昨日はまた、ド派手に啖呵を切ってくれたものだな?」
『勝った方が有利に立てるのはもちろん、優勝に大きく近づける事ができるでしょう。
勝負は、明日。京帝が参戦してからです』
『明日のダブルスBブロック。第2回戦第2試合。
私は京帝高校の神威信さんと戦います。
そこで、差を付けようと思います』
「………」
正直、昨日のことは忘れてしまいたかったが…。
「結局。お前の本心はどっちなんだ?」
信が雄真を品定めするかのような視線で見る。
気づけば、横に控える少女も同じような視線で雄真を見つめていた。
「本心ね。決まってるさ」
隣の春姫を見る。にこりと笑ってくれた。
「信。今日俺は、お前を倒す」
「ふっ」
信が口元を緩める。
「貴方に、それができるとでも?」
「ん?」
初めて信の隣にいる少女が口を開いた。
「七賢人の一族たる信様を、引きずり落とすことができるのかと聞いているのです」
「七賢人なんて関係ないだろ」
「…なんですって?」
少女の視線がきつくなる。それに構わず、雄真は告げた。
「俺が信と戦うのに、そんなもの必要ない」
「そ、そんなものっ!? あ、貴方という―――」
「はははっ!! いや、その通りだ。止めておけ白。
確かに、七賢人という地位が、俺の体を魔法から守ってくれるわけじゃない」
「で、ですがっ」
尚も食い下がろうとする白を、信が手で制する。
「紹介が遅れたな。こいつは白。
神威家の従者を務めてくれている。よろしくな」
「よろしくしてくれなくて結構ですっ」
「この無礼者っ」という目で睨まれた。
「さぁて、話は済んだのか?」
審判が間に入ってくる。
「失礼した。構わない」
それに信が答える。
そのまま雄真たちに背を向けて、最初の待機位置へと歩き出した。
白が続こうと身を翻すが、一度だけ雄真の方へと振り返る。
「後悔させて差し上げます」
「そりゃ怖い」
雄真は、その怒気を肩をすくめることでやりすごした。
「ふんっ」
白がずんずんと音が出そうなほどの力強さで歩いていく。
背中に付いているロッドも上下にぶんぶん揺れていた。
「思いっきり嫌われちゃったなぁ」
「ふふふ。あれだけ堂々と言われちゃうと、従者としては黙っていられなかったんじゃないかな?」
「それはちょっと反省してる」
2人で待機位置へと移動しながらそう話す。
「春姫」
お互いが立ち止ったところで、雄真が改めて声をかけた。
「うん?」
「勝とう。絶対に」
「うんっ!!」
「信様、お願いが御座います」
「ん?」
めずらしい。白がお願いをしてくるなど、年に1度あるかどうかだ。
信はそんな従者に先を目で促した。
「この試合、私が全て請け負います」
お願いではなく、既に決定事項を知らされた。
「おいおい。まさか雄真と神坂春姫、1人で相手をすると言うんじゃないだろうな」
「そのまさかです」
「お前が強いのは知っている。が、相手は“あの”2人だぞ。知らんわけではあるまい」
「ClassA・期待の新人と、御薙鈴莉の愛弟子であることは重々承知です」
「それでも勝てる、と?」
「負けません」
「…お前、そんなに雄真のセリフに引っかかってるのか?」
「当たり前ですっ!! この国の民でありながら、七賢人を何と心得るか!!」
「落ち着け落ち着け、俺に言われても困る」
「あ、す、すみませんっ」
顔を赤くしながらペコペコ頭を下げる従者を尻目に捉えながら、信は顎を撫でた。
「…ふむ」
雄真とは戦ってみたい。わざわざダブルスに出場した理由はそこにしかない。
しかし。白と戦って負ける程度の実力なら、戦うまでもなく勝敗は明らかに…。
そこまで考えたところで、信は人の悪い笑みを浮かべた。
「…いいな、それでいこう」
「はい?」
急に乗り気になった信に、白が首を傾げる。
「何を不思議そうな顔してる。お前の案でいこうと言ってるんだ。
俺はお前が負けるまで、一切手を出さない。これでいいんだろ?」
「え、ええ!! そうですとも!! あんな男――ああ、いや2人、私が目に物を見せてやりますっ!!!」
白が意気込む。それに苦笑しつつ、信は相対する2人へと目を向けた。
(…俺と戦いたくば、まずはその実力を見せてみろ)
ビ―――――――ッ!!!!
開始ブザーが鳴り響いた。
励みになります。
個人情報登録等は一切ございませんので、
作品が気に入って頂けましたらお願いします。
Leica
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